2013年10月13日日曜日

TOFLEの国別比較がそんなに有り難いものかね?


TOFLEの国別比較がそんなに有り難いものかね?


 報道によると、日本人は英語があまりできないらしい。

 何に基づいているかと言うと、TOFLEの点数の国別の比較だと言う。アジアでは最下位か下の前(げのまえ)だという。
 なんかそのような話を聞くと、自分の英語の出来ないのを指摘された様な気分になり「やっぱりか」と思う人が多いのではないかな。私もそうだ。

 しかし、ちょっと考えてみようではないか。もっと冷静に考えてみようではないか。

 日本人は世界で一番勤勉な民族なのである。勉強だって沢山やっている。幸い、ここ60年ほど、戦争も内戦もなく、おちついて子供達に勉強させられる環境であった。英語にも殊の外、力を注いでいるではないか。

 それでできない訳がないではないか。

 TOFLEが各人の英語の能力を測る有用な物差しになるということは、私は否定はしない。しかし、これはあくまでもアメリカやイギリスに留学するときのための英語力の指標として用いられるものである。試験をざっと見てみると、英語を英語で考える能力を見る試験である。故に国別の比較も出来るのであるが。

 しかし、冷静に考えてみようではないか。日本人にとって必要な英語力は、あくまでも、日本語と英語の置き換えである。英語を日本語に変換して理解し、日本語で考えたものを英語に変換して話したり書いたりしているのだ。
 日本人だけではない。英語以外の言語を母国語にしている人はみなこのような思考経路で英語を理解している。

 「それではいけない。英語を英語で理解しなくてはいけない」と言う人が時々いるが、そのようなことは誰もやっていない。ただ、変換がものすごく早くなると、そのように感じる場合もあるし、そのくらいになるまで鍛えたいものだ。

 さて、TOFLEの国別比較について考えよう。いろいろな国がある。英語が公用語の国もある。インド、シンガポール、フィリピンなどがそうだ。そのような国とTOFLEの点数を競ったってしょうがないではないか。
 あと、大学教育は英語でやっている国も多い。これは、別に大学で英語力を鍛えるためにやっているのではない。悲しい事に、大学教育レベルの話になると、母国語では不便を感じる国々である。このような国では、母国語への訳本がないのでテキストも英語のものを使い、勢い、講義も英語となる。

 そのような国の人と、TOFLEで英語力を競うことにあまり意味はないような気もする。勢い、大学の講義を全部英語でせよ、と言う意見も聞こえてくるが、これもナンセンスである。大学で学ぶのは、新しい進んだことを学ぶ事が目的に勉強をし、それを教える訳であり、英語を教える所ではないのである。


 たとえば、医学部は、能力の高い医師を養成するのが目的である。英語の出来る人を作るのがも目的ではない。現代医療をとことん勉強してもらって、進んだ技術で病気を治してもらいたいというのが国民の医学部に対する願いと期待である。英語の上手な医師など誰も期待してはいない。

 また、母国語が英語を学ぶのに有利なもの、不利なもの、の差異はある。例えば、中国語は英語と文法の構造が似ていると言われている。よく言われる事であるが、中国語も英語も「主語 動詞 目的語」という順序で構成されている。日本語では「主語 目的語 動詞」である。このような、有利不利はある。

 そのように考えて行くと、TOFLEの点数の国別の比較等どのような意味のあることなのか、と思えるだろう。したがって、このようなデータをもとにして、日本人は英語ができない、と言うのは大間違いなのであるように思う。


TOEFLスコアのアジア国別ランキング【2010年】


http://english-columns.weblio.jp/?p=195
日本は27位(2010年度)



【関連記事】



自民党の教育再生実行本部が2013年4月4日にまとめた提言で、大学の受験資格や卒業要件に民間の英語能力テスト「TOEFL」(トーフル)で一定以上の成績を収めることを柱に掲げた。8日に提言を安倍晋三首相に提出し、夏の参院選公約にも一部盛り込むという。

   日本ではこれまで、英語の実力をはかるテストといえばTOEIC(トーイック)や英検が広く知られてきた。こうしたテストとTOEFLとはどこがどう違うのか、専門家に話を聞いた。

「TOEICが通用するのは日韓と台湾くらい」

   TOEFLは1964年、英語を母語としない人を主な対象に、英語コミュニケーション能力を測るテストとして、TOEICの母体でもあるアメリカの教育団体、ETSにより開発された。大学のキャンパスや教室といった実生活で必要な、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を総合的に測定する。満点は120点で、TOEIC同様、スコアがそのまま実力を示す数値となる。日本国内での受験料は225ドル(約2万2000円)で、日本の平均スコアは70点。
   TOEICや英検との目立った違いは、その用途だ。日米会話学院(東京・四谷)によると、TOEICは日本の企業などで、英語力をはかるものさしとして昇進や採用などの基準に利用されることが多く、英検は主に中等教育の一環として使われている。一方のTOEFLは平たく言えば、「アメリカの大学に留学したい人の英語力を測るためのテスト」だという。
   そのためTOEFLの受験者は、世界的にはTOEICよりずっと多い。実施国数を見ても、TOEFLは180か国で、TOEICは120かと差がある。しかも、「TOEICの実施国のほとんどは便宜的にやっているだけではないでしょうか。実際の受験者は日本と韓国に、加えても台湾がほとんどでしょう。世界的な通用度はTOEFLのほうが圧倒的に上です」(日米会話学院)。アメリカ以外に、イギリスやシンガポールの大学院でも、募集要項にTOEFLのスコア基準が書かれているが、TOEICはない。TOEICはほとんど日本国内で働く時にだけ、有効というわけだ。
   ただ、TOEFLの日本の受験者数は、海外の大学院や大学への進学に特化した性質から、内向き志向とあいまって減少しているという。日米会話学院でもTOEIC対策の受講者のほうが多いそうだ。

TOEIC800点と英検準1級どっちが上?

   難易度にも大きな差がある。TOEFLでは、アメリカの大学の1年生が使う教科書レベルの文章が、文理問わず幅広い分野から出題される。そのため、読み聴きした英語をその場で速く正確に理解し、受け答えする力が必要になる。基礎的な力をはかるという面が強く、受験対策が取りにくいので、「英語力を測る精度はかなり高い」という。
「東大生のように、英語の受験勉強をきちんとやった人たちでも、TOEFLに向けてはまったく別の準備をかなりやらないと、ある程度のスコアを取るのは無理です」
   一方のTOEICは、一般にはリスニングとリーディングの点数しか評価されない。また、ビジネスシーンでの日常会話が出題のベースとなっているため、断片的な情報から経験や推測をもとに正解を選べてしまう。対策も比較的容易だという。担当者は「(こうした『受験勉強』で)高得点をとった人も、いざ海外に行くとなると、うちに来て勉強するんです」と笑う。


   英検については、前述の2つとかなり形式が異なるため、一概には比較できない。ただ、文法や単語と言った基礎的な力がきちんと押さえられているため、日本人の英語力を測る尺度として「馬鹿にできない」。担当者は、あくまで個人的にはと前置きした上で、「TOEIC800点と英検準1級だったら、英検準1級の方が、力があると評価しますね」と話していた。 (2013年4月 配信)



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英語の諺 その文法と解釈の研究 (新々英文解釈研究 山崎貞 に準拠) 目次
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